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ルキウス「ルーチェ!!」
いきなり強い力で押されて、私はバランスを崩した。
視界いっぱいにルキウスの顔が見える。
ルキウス「やめるんだ、こんなこと……!」
離れようともがいても、びくともしない。
ルーチェ『どいて! でないとあなたを――』
ルキウス「お前には俺は殺せない」
ルーチェ『そんなこと、ない!!』
忍ばせていた短剣を、ルキウスに突きつける。
ルーチェ(なんで? どうして……手が、震えて……)
ルキウス「ルーチェ……」
アノニム「愛してるよ、ルーチェ」
ルーチェ「私もっ……私も愛してる、アノニム」
今が永遠になればいいのに。
アノニム「……ありがとう、ルーチェ」
アノニムに抱きしめられる。
温かな体温が、鼓動が、彼がここにいると証明してくれる。
アノニム「キミの声、すごく綺麗だ……もっと、聞かせて……ボクを呼んで」
ルーチェ「うん、アノニム……」
視界が、滲んでいく。
ルキウスがまた剣先を彼に向ける。今度は、首筋を狙っているようだ。
???「えっ、なんでそんな危ないものを向けてるの!? ボク、何かした!?」
ルキウス「彼女が優しいからと言って気安く若い娘に触れて、いやらしいぞ」
???「えっ、いや、これは寝ぼけていたっていうか……あれ? なんか虫けらを見るような目で見られてる!?」
リンクス「いやらしいんじゃ仕方ないね、諦めて」
???「命を諦めるほどの事なの、これっ!」
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